普通っぽくないデジタルカメラ、OLYMPUS AIR A01を買いました。
レンズやアクセサリーを除いた本体はとても小さくてドアノブぐらいの大きさでしょうか。撮れる写真は、スマホ内蔵カメラとはレベルが違う、高級デジタル一眼クオリティです。ちなみに、マイクロSDカードとポケット三脚は用意しておいた方が幸せになれます。
さて、発売とほぼ同時に公開されたSDKを使って、普通のカメラ使用感レポートにはない、マニア臭のする変に細かいところを見ていきたいと思います。
先ずは、映像入力からライブビュー表示までの遅延を計測してみました。OLYMPUS AIRとiPhoneとMacのある部屋の電波の混み具合は、
という状況です。条件は、
- iPhone 4S、アプリはSDKに付属のImageCaptureSampleを使用
- Mac mini (Late 2014)、アプリは自作の時計アプリを使用
- ライブビューの画質はVGAモード (640×480)に設定
です。計測方法は、Macの時計アプリの時刻表示をOLYMPUS AIRで写してそれがiPhoneに表示されている時刻との差を見るというもの。
10回測った結果は以下の通り。
Mac画面 - iPhone画面 = 遅延秒数 27.122 - 26.962 = 0.160 30.643 - 30.473 = 0.170 34.816 - 34.646 = 0.170 38.789 - 38.636 = 0.153 50.046 - 49.890 = 0.156 51.503 - 51.364 = 0.139 55.762 - 55.591 = 0.171 57.388 - 57.232 = 0.156 00.941 - 00.802 = 0.139 04.227 - 04.057 = 0.170
最短 = 0.158秒、最長 = 0.171秒、平均 = 0.158秒。映像が目に入ってから末端の筋肉に伝わる時間と同じぐらいでしょうか。ちなみに、MacとiPhoneの双方のディスプレイのリフレッシュレートが60フレーム毎秒ぐらいだと思うので、計測した秒数は0.017秒から0.033秒ぐらいの誤差があるはずです。
次に、撮影開始から撮影完了までの処理時間を計測してみました。条件は、
- iPhone 4S、アプリはSDKに付属のImageCaptureSampleを使用
- ライブビューの画質はVGAモード (640×480)に設定
- 撮影モードはiAutoに設定(F=3.5、SS=640、ISO=Auto(200))
- フォーカスロックはなし(自動AF)
- 撮影後確認画像はあり
です。計測のためにImageCaptureSampleの撮影処理に、ログにタイムスタンプを出力するように手を加えました。(下記の写真のブレークポイントが設定されている行が、今回追加した部分です)
5回測った結果は以下の通り。
撮影開始 → 撮影終了 : 処理秒数 1427515576.569 → 1427515579.070 : 2.501 1427515591.011 → 1427515594.051 : 3.040 1427515627.949 → 1427515630.019 : 2.070 1427515636.869 → 1427515640.606 : 3.737 1427515653.433 → 1427515655.704 : 2.270
最短 = 2.724秒、最長 = 3.737秒、平均 = 2.724秒。カメラでの自動AFとスマホへの撮影後確認画像を転送するのに時間がかかっているようです。
最後に、少し条件を変えてみます。
- iPhone 4S、アプリはSDKに付属のImageCaptureSampleを使用
- ライブビューの画質はVGAモード (640×480)に設定
- 撮影モードはiAutoに設定(F=3.5、SS=640、ISO=Auto(200))
- フォーカスロックは事前に指定(AF固定)
- 撮影後確認画像はなし
です。5回測った結果は以下の通り。
撮影開始 → 撮影終了 : 処理秒数 1427515789.566 → 1427515790.099 : 0.533 1427515793.996 → 1427515794.529 : 0.534 1427515797.631 → 1427515798.185 : 0.554 1427515810.127 → 1427515810.602 : 0.475 1427515814.963 → 1427515815.485 : 0.522
最短 = 0.475秒、最長 = 0.553秒、平均 = 0.523秒。シャッター速度が1/640秒なので無視できるとすると、コマンドの送信と結果の受信およびカメラ内での手続きが合わせてこれぐらいの時間かかるということのようです。
これらの結果から、実世界の事象をiPhone上で認識してそれが写真としてOLYMPUS AIRの中に取り込み終わるのは、最速で0.681秒から2.882秒ぐらいかかるということになります。…あらヤダ! ここまでやったのに、シャッターボタンを押してから露光完了までの時間を計っていなかったじゃない。
と言うわけで大方の予想通り、動体撮影は苦手、スナップ撮影はやや苦手、風景やモノを撮るのには問題なさそう、と言ったところです。